異文化コミュニケーション学部に入学するみなさんへ

2020年1月29日

「全学共通科目言語B(必修)」言語選択について

立教大学では、1年次に英語以外の外国語を「言語B」として学ぶことになっており、全学共通科目として、週2回の必修科目が展開されています。異文化コミュニケーション学部では、そのほかに週1回、言語Bの運用能力をさらに高めるための「コミュニケーション・セミナー」を履修します。2年次の「海外留学研修」では、言語Bの言語圏に留学することもできるほか、上級者向けに、言語Bによる専門の講義「レクチャー」という科目も提供しています。

異文化の多様性を理解し、多文化共生のための実践について知見を深めることを目指す異文化コミュニケーション学部では、複数の言語を学ぶことを通して、複数の文化を知り、複眼的な思考を身につけることを重視しています。言語Bを選択する際には、自分が関心のある地域、専門領域などを念頭において、以下を参考にしてください。

【専門領域からの視点】

言語研究領域

かつてないほど英語を使う人は増加の一途を辿り、英語圏や植民地政策の名残で英語を公用語とする国々に加え、国境を越えた交流を盛んにするために英語教育に力を入れる国も増えています。このような状況をみると英語ができれば十分だ、と思われがちですが、むしろそれは逆ではないかと思います。英語を使う時、その相手の母語は英語以外であることもしばしばです。英語以外の言語も学ぶことで、第2、第3言語として英語を使用する人々のそれぞれ固有の英語やコミュニケーションスタイルへの理解が深まるでしょう。また、多言語話者は他者の視点に立つことにおいて柔軟性を持つといわれ、異文化接触場面の相互理解に一躍を担うことができると思います。更に、近年海外から日本に移り住んだ子どもたちの多くは、母語、日本語、そして学校で学ぶ英語の多言語話者です。このような子ども達の多言語状況に共感できる姿勢を育むこともこれからますます重要になりそうです。(森聡美教授)

 

異文化コミュニケ―ション研究領域

母語以外の複数の言語を学ぶことは、異文化コミュニケーションに役立つだけでなく、異文化コミュニケーションそのものでもあります。新しい言語を学ぶことで、自分にとっての「ふつう」や「あたりまえ」を新たな視点で見つめなおすことにつながっていきます。私自身も、中学校で英語を学びはじめ、他にも多様な言語を「かじって」きました。日本語と英語以外では十分なコミュニケーションができるとはいえませんが、それでも自分が「かじった」言語を話す人々との交流や理解に役立ったと感じる経験をしたことが何度もあります。世界のいろいろな場所で英語が通じる現状はあります。しかし英語は万能ではありません。英語以外の新たな言語を学ぶことで、知らない場所や人々に対する「不安」が少なくなり、自らの視点のみならず、行動範囲や選択肢も広げてくれるのではないかと思います。(河合優子教授)

 

通訳・翻訳研究領域

通訳・翻訳の仕事というと、対象言語としてまず英語を考える人が多いと思います。しかし、立教大学で提供している言語Bを対象とする仕事も翻訳・通訳市場で重要な位置を占めています。たとえば、日本国内ですと、産業翻訳、国際会議、コミュニティー通訳(医療、福祉、司法などでの通訳)において、英語に続き中国語の需要が高い状況です。韓国・朝鮮語翻訳・通訳も安定した需要があります。また、コミュニティー通訳の領域では、スペイン語が重要言語となっています。実際に、立教大学・大学院の卒業生や教員がそれらの言語の翻訳者・通訳者として活動している例があります。さらに、国連などの国際機関で働く場合、英語だけでなく、フランス語の能力が求められることがありますし、欧州で仕事をする場合、ドイツ語も重要な言語です。多様な文化や世界観を学ぶというだけでなく、仕事のオプションを広げるという意味でも、言語Bの学習を大いに勧めたいと思います。(武田珂代子教授)

 

グローバル研究領域

英語だけではなく他の言語も体系的に学んでおくと、言語を学ぶセンスのようなものが身につけられます。海外に暮らすようになる事情はさまざまでしょうが、耳から入ってきた言語やその土地の人々の間で使われているような言語を、必要があれば、これまでに学んだ複数の言語感覚に照らして習得できるはずです。現地に住み込んでフィールドワークをおこなう文化人類学者には、いくつもの言語を自由に話せる言語の達人のような人が何人もいます。その人たちは、だいたい学生時代にしっかりと複数の言語を勉強した人たちです。かくいう私は、インドネシア語を学んだ後に2年間のフィールドワークで、人口約2千人の農耕民のカリス語を習得しました。その後インドネシア語によく似たマレーシア語も話せるようになり、同じく長期フィールドワーク中に、人口約1万人の狩猟民のプナン語を身につけました。まずは、複数言語からチャレンジしてみてください。(文化人類学:奥野克巳教授)

 

芸術や文化に関心が深い学生にとって、フランス語を学ぶことは意義深いことです。フランスの古くからの文化や芸術の豊かさそれ自体を知ることや、原語で芸術家たちの生の声に触れることで得られる感動は、何物にも替えがたいものがあります。

日本などの現代アートにつながる、近代美術(モダン・アート)や、その基盤である近代性という概念が形成され、芸術家たちの実践を通じて発展したのは、19世紀以降のフランスです。印象主義、ポスト印象主義、キュビズム、フォーヴィズム、ジャポニスムや象徴主義、さらにはヌーヴェル・ヴァーグの映画、漫画bande dessinée等々。作品を目で鑑賞するだけでは見えてこない芸術家たちの問題意識、批評家、研究者の考察の多くはフランス語で書かれています。映画や漫画なら、原語で味わってこそわかる面白さがあります。今日の多極化した芸術やアートの状況についても、思いがけない視点を与えてくれるのがフランス語だといえるでしょう。(西洋美術史:黒岩三恵教授)

【言語からの視点】

ドイツ語

ドイツ語を学ぶことは、異文化コミュニケーションがますます重要になる現代社会の今を理解する上でとても役に立ちます。ドイツは欧州連合(EU)の政治・経済・文化大国として、フランスとともに中心的な役割を果たしていますが、このEUは、加盟各国の言語や文化の多様性を尊重しながらもヨーロッパとして一体であるという理念を一つの柱としています。このようにヨーロッパが統合される前、ドイツは、「他者」を排除する極端なナショナリズムの時代を経験していますが、その反省をふまえ、現代では移民、難民の受け入れ、あるいはジェンダー、性の多様性などについて、また原発問題や環境との共生について議論を続けている社会でもあります。芸術の領域では、モーツァルトやベートーヴェンなどのクラシック音楽からテクノ、クラブ文化、また、現代アートや映画、演劇などの文化活動もドイツと深いつながりがあります。ドイツという他文化に近づき、そして現代の社会における多文化共生を考えるためにも、ドイツ語は一つの鍵となるはずです。

 

フランス語

フランス語は、世界をつなぐ言語のひとつです。フランスとその海外県・地域圏だけでなく、スイス、ベルギー、カナダのケベック州、モナコ公国、北アフリカや西アフリカなどの旧植民地でも話され、さらに、欧州連合(EU)、国際連合(UN)、国際オリンピック委員会(IOC)、国際サッカー連盟(FIFA)など多くの国際機関の公用語でもあります。料理やモードに関連した用語が外来語として日本語の中に多数定着していることは言うまでもありませんが、哲学、歴史学、社会学などの学問の発展を推進してきた言語としても重要です。また、フランスは、主に旧植民地からやってきた移民との共生に長年取り組んできた国です。国内には多数の移民やその子孫が居住しており、日常的に多文化状況ができています。フランス語を学ぶことは、国外における他者との関係のみならず、国内における他者との関係を、すなわち個人あるいは社会のアイデンティティの問題を考え、異なるルーツを持つ人々がどのように理解しあい共に生きていけるのかを学ぶきっかけとなるでしょう。

 

スペイン語

世界20か国以上で5億人前後の人々によって使用されているスペイン語は、国連の公用語でもあり、国際社会においても重要な言語の一つとなっています。社会文化的な多様性を背景に持つスペイン語圏と接点を持つことは、文学・芸術・政治・経済からファッションやスポーツなどに至るまで、様々な領域において関心を広げていくきっかけになり得ます。

ラテンアメリカ世界を知ることは、アメリカ世界とヨーロッパ世界、アメリカ世界とアフリカ世界など、多角的な関係性の中で世界を眺める視点を養うことにもつながります。ラテンアメリカ各地には現地の文化があり、スペイン人らがもたらしたヨーロッパ文化との出会いを果たしてきましたが、植民地における先住民に対する抑圧という負の歴史も忘れてはなりません。一方、スペインはスペイン語の他にバスク語、カタルーニャ語、ガリシア語などが併用される複数言語社会で、また、中世以来イスラーム世界とヨーロッパ世界の接触の最前線でした。いずれにせよスペイン語の先には、多文化社会、異文化理解を考える上で興味深い世界が大きく広がっていると言えるでしょう。

 

中国語

日本は今、三度目のグローバル化の中にあります。最初のグローバル化は中国大陸にあった王朝への「朝貢」という形でもたらされました。中国の王朝から時間概念・為政制度・文化などを移入したので、日本文化の基層には中華文化があります。従って中国語は日本語との距離が近く、漢字を用い、動詞の活用もないなど比較的シンプルで、とても学びやすい外国語です。中国の人口は14億人強、さらに世界中に、中国語を話す人々が暮らしており、みなさんも日常生活の中で中国語を聞いたり、見たり、あるいは中国語圏の友人・知人がいる人もいるでしょう。
ところで中国と聞くと何を連想しますか?広大な中国は漢族、チベット族など56の民族が暮す多文化社会なので、皆さんがまだ知らない「中国」がたくさんあります。国際社会の中で中国の存在感が増すにつれ、英語に次ぐグローバル言語になった「普通話」(標準中国語)を大学で身につければ、中国の多様な世界への扉を開くだけでなく、将来の自分の可能性を拡げることができます。

 

朝鮮語

朝鮮語は隣国の言葉であり、日本で最もしばしば使われる外国語の一つです。近年は韓国の音楽や文学など、多様な文化が身近になって、関心を持つ人びとが一層広がっています。日本の市民がアジアの一員として平和に豊かに生きていくために、知っておきたい、知っておくと楽しくなる言葉の第一が朝鮮語です。同時に、日本と同様に急速な近代化を経てきた社会として、今日同時代的に抱える課題も共通したものが少なくありません。朝鮮語を知ることは、私たち自身の近現代のあり方を考えるきっかけになるはずです。

日本社会ではこのところ排外主義的な雰囲気が高まっています。特に、かつて植民地だった朝鮮半島の人びとに対して、偏見や優越感に基づいた見方が広がり、ヘイトスピーチと呼ばれる言説がしばしば見聞きされる状況です。しかし、よく知りもせず相手のことを決めつける前に、言葉を知り、南北朝鮮の人びとの声に耳を傾け、その思いを読み取ってみませんか。今後、朝鮮民主主義人民共和国との国交が正常化されれば、朝鮮語はますます重要になるはずです。この機会に、学んでみませんか。

「海外留学研修」で必要となる英語語学試験受験に関して

異文化コミュニケーション学部の「海外留学研修」は、原則として学生全員が参加するプログラムです。

英語圏への留学や英語圏以外の大学で英語での授業履修を希望する場合、IELTSまたはTOEFLのスコアが必要となります。

詳しくは下記のPDFをご参照ください。

「海外留学研修」で必要となる英語語学試験受験に関して

※上記は、大学の新入生オリエンテーション用WEBサイト掲載のものと同内容です。